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2026/10/13

伝わらないのは相手のせいじゃなく、私の説明が独りよがりだったから〜デジタルラボみなの現場記〜

「便利なのは知ってるんだけどね」

皆野町でデジタル化の相談を受けていて、いちばん多く聞く言葉がこれです。

便利なのは知っている。でも、やり方がわからない。聞ける人もいない。
だから、紙のままにしている。

これは「できない人」の話ではありません。「聞ける場所がなかった」という話です。

「DX」という言葉は、たぶん届いていない

私は最初、「DX支援をしています」と自己紹介していました。でも、あるときから気づきました。この言葉、ほとんど伝わっていない。

うなずいてもらえるけれど、そのあと質問が出てこない。それは理解されたからではなく、質問のしかたがわからないからだと、しばらくしてわかりました。

だから、言い方を変えました。「デジタル化のお手伝いをしています」と。

それでも、まだ足りませんでした。

「デジタル化って、具体的には?」

この質問を受けたとき、私は少し詰まりました。

言われてみれば、当たり前のことです。「デジタル化」も十分に抽象的な言葉です。それを説明せずに使っていたのは、私のほうでした。

だから、こう答えるようになりました。

「今、紙で管理しているものを、パソコンで管理できるようにすることです」

たとえば、名簿。たとえば、売上の記録。たとえば、在庫の一覧。

紙のノートに書いているものを、ExcelやGoogleスプレッドシートに移すだけで、検索できるようになる。合計が自動で出る。書き間違えても、消しゴムは要りません。

そう説明すると、たいてい「ああ、それならわかる」と言ってもらえます。

「そもそもスプレッドシートって何?」

この質問をもらった日のことは、よく覚えています。

私は当たり前のように「スプレッドシート」と口にしていました。略さず、正しい名前で言っていたつもりでした。

でも、正しい名前で言えば伝わる、というものではなかったのです。

その言葉が何を指すのか、どんな場面で使うものなのか——それを知る機会が、そもそも共有されていなかった。伝わらなかったのは、言い方の問題ではなく、私がその前提から説明していなかったからでした。

このとき、はっきり自覚しました。

伝わらないのは、聞き手の理解力の問題ではない。話し手が、相手の言葉で話していないだけだと。

それ以来、私は言葉を選ぶようになりました。「スプレッドシート」ではなく「Googleの表計算ソフト」。「クラウド」ではなく「インターネット上に保存しておく仕組み」。

長くなります。でも、伝わります。

「聞ける場所」が、なかっただけ

デジタル化が進んでいない、という言われ方をすることがあります。

でも、実際に相談を受けていると、それは少し違うと感じます。

紙で管理しているのは、怠慢だからでも、遅れているからでもありません。紙で、ちゃんと回っていたからです。日々の仕事はきちんと動いていて、困っていることも特にない。そのなかで、わざわざ別の方法を試す理由がなかっただけです。

そして、「もっと楽な方法があるらしい」と聞いても、それをどこで聞けばいいのかがわからない。

都会の会社なら、隣の席の誰かに聞けたかもしれません。「これ、もっと早くできませんか」と。

でも、小さな町では、その「隣の席」がいないことがあります。役場でも、事業所でも、同じです。周りの人も同じやり方で仕事をしているので、聞く相手がいない。

これは能力の問題ではなく、知識にアクセスする機会の問題でした。

だから、聞ける場所になりたい

私がこの町でやりたいことは、それほど大それたことではありません。

最新のシステムを入れることでも、業務を根本から作り変えることでもない。

「これ、どうやるの?」と気軽に聞いてもらえる場所になること。それが最初の一歩だと思っています。

「こんな初歩的なことを聞いていいのかな」と思う必要はまったくありません。むしろ、その質問こそが私にとってありがたいのです。「スプレッドシートって何?」と聞いてもらえたから、私は自分の説明が独りよがりだったと気づけました。

質問してくださる方は、いつも私に教えてくれています。どこから説明すべきなのかを。

おわりに

デジタル化は、目的ではありません。手段です。

毎日1時間かかっていた作業が10分で終われば、残りの50分を別のことに使えます。その50分が、町の誰かにとって少しでも意味のある時間になるなら、それでいい。

紙のままがいい、という選択も、もちろんあります。無理に変える必要はありません。今のやり方でうまくいっているなら、それがいちばんです。

ただ、「便利なのは知ってるんだけどね」で止まっている方がいるなら。

その先は、一緒に考えられます。

お気軽に声をかけてください。

筆者について

株式会社デジタルラボみなの 藤野磨緒

皆野町地域おこし協力隊。株式会社デジタルラボみなのにて、行政のDX化支援や、業務のデジタル化・AI活用、採用支援のお手伝いをしています。

パソコンやExcelの初歩的なことから、紙の管理をどうデータ化するかまで、どんなことでもご相談ください。

📩 お問い合わせ:minano@dlab-jp.com

【デジタルラボみなの】

https://www.dlab-jp.com/minano

【元記事】

https://note.com/chiiki_minano/n/nbe331dd08421